月経異常

月経異常について

月経異常の中には月経血量が多い、月経痛が強い、月経が頻繁に来る、逆になかなかこない等の月経周期の異常(月経不順)、他に月経前になると落ち込んだり、イライラしたりするいわゆる月経前症候群、月経前不快気分障害等があります。

月経痛(生理痛)

月経痛(生理痛)とは

月経の時に起こる子宮の収縮により月経痛は起こります。
子宮筋腫、子宮腺筋症や子宮内膜症などの疾患があった場合は病的に強くなります。
しかし若い方では何の異常がなくても月経痛の強い人がいます。
月経は妊娠が成立しなかった場合に子宮内に準備された組織を排出するために起こります。
その時に子宮が収縮するのですが、若いうちはその準備される組織が多いことと、組織を排出させる出口が狭いことによりその収縮が強く起こります。

治療方法

子宮筋腫、子宮内膜症等の疾患がある場合はその治療が必要です。
何も疾患がない場合は生理的な範囲ということになります。
しかしその場合でも鎮痛剤を内服したり、漢方療法をしたり、ピルを内服したりして月経痛を軽減させることが可能です。
現在ピルは月経困難症の診断で保険適応のものもあります。

月経不順

月経不順とは

月経周期が一定でない場合をいいます。
しかし中には毎月同じ日に月経が起こらないと月経不順と思っている人も多いのが現状です。
月経周期とは月経の始まった日から次回の月経が来た日の前日までの事です。
平均28日の人が多いのですが、これが30日だったり、35日だったりしても絶対治療しなくてはいけないということではありません。
結局いつ排卵したかによって月経の来る日が決まります。
排卵してから月経が起こるまではだいたい14日間なのです。
ということは月経が遅れたり、多少早まったりするのは妊娠するための卵子を育てるまでの期間に多少の変動があるということなのです。
まずは基礎体温をつけて自分の月経周期を把握してみて下さい。
その上で治療が必要か否かを判断させていただきます。

治療方法

漢方薬を使ったり、ピルを使ったりします。

過多月経

過多月経とは

月経血の量は他人と比べることができません。
ですのでいろいろな話を聞いて自分は多い方なのかなと思っている人も多いようです。
一つの目安としては自分の中で数ヶ月前、あるいは数年前と比べて最近の方が多くなってきているかどうかです。
そして血液検査などで貧血を指摘されるようになった場合、やはり病的に月経血が増えたと思われます。
貧血がなければ特に心配することはありません。
しかし前述のように昔よりも出血量が増えてきた場合は適宜血液検査を施行し貧血の有無をチェックされて下さい。

治療方法

病的に出血量が増えて貧血が出てきた場合は月経痛のところでも書いたように何かしらの疾患があることが予想されます。
その場合はそれに対しての治療が必要です。
貧血がなくてもやはり量が多いと感じている方にはピルが有効です。
ピルは子宮内に作られる組織の量自体を減らす効果があります。
流すものが減ればおのずと月経血の量も減ります。
他には現在子宮内に挿入するリングがあります。
これも子宮内に挿入することで子宮内膜を薄くして月経血を減少させます。
このリングは5年間有効です。

無月経

無月経とは

3ヶ月以上月経がなかった場合無月経と言います。
妊娠、産後、閉経後は生理的に月経が止まります。
まずはこれらの生理的無月経を除外します。
その上で子宮、卵巣に器質的異常がないか。
ホルモンに異常がないか等を調べます。
母乳を分泌させるホルモン(PRL)が高値だったり男性ホルモンと卵胞ホルモンが高値だったりすると月経が止まります。

治療方法

PRLが高値の場合、原因検索を行ないPRLを低下させる内服薬を使います。
男性ホルモン、卵胞ホルモンが高かった場合、人工的にホルモン剤で月経を起こさせたり、排卵誘発剤を用いて排卵を誘発します。

月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)

月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)とは

月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)とは 「月経前3~10日前からの精神的、身体的症状で月経発来とともに減弱あるいは消失するものを言います。
具体的な症状としてはイライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、乳房痛、手足の浮腫み、落ち着きがなくなる、不安感、抑うつ等などがあります。
PMSの症状が強い場合、あるいは精神症状が主体の場合をPMDDと言います。40歳前後の方では更年期障害かなと思って受診される方もいらっしゃいますが、殆どがPMS、PMDDであることが多いです。

治療方法

カウンセリング、生活指導、薬物療法
まずは規則正しい生活、睡眠、適度な運動、タバコ、コ-ヒ-等の制限により軽減されることもあります。
悪物療法としては精神安定剤、鎮痛剤、利尿剤を使ったり、漢方薬が効果を示してくれることもあります。
今は低用量ピルが症状軽減に有効であることがわかってきています。
ピルは基本的に21日間あるいは24日間内服し7日間あるいは4日間休薬するのが普通でしたが、最近3~4ケ月低用量ピルを継続的に内服しその後4日間休薬しまた3~4ヶ月継続して内服するピルが発売されました。
このピルの使用により月経回数を減らすことができ、PMS、PMDD症状の軽減も期待されています。